2011年12月1日木曜日

月間 『万有引力』 12月号

おはようございます。

今年も残りあと一ヶ月。気がつけばこのブログも半年ほど続いています。はじめはどうせ二三ヶ月で飽きてやめるだろうと思っていたのですが、意外と続くものですね。もちろん来年も続けていきたいと思っています。

さて、今月はいつもとは趣向を変えて、フランスの詩人Jules Supervielle の詩集 “Gravitations” の翻訳をやっていきたいと思います。
実はこれはこのブログをはじめたときからやりたいと思っていたことでもあります。

今回は前段階として、このJules Supervielle という詩人について書きたいと思います。

まずは日本での受容。
日本語ではジュール・シュペルヴィエル、あるいは単にシュペルヴィエルと表記されることが多いこの詩人、日本ではあまり知名度が高いとは言えません。これまでに詩集の完全な翻訳はなく、僅かに各詩集より選りすぐった「シュペルヴィエル詩集」が販売されていたものの、現在は絶版状態となっています。現在普通の本屋さんで手に入るのは短編集 "L'enfant de la haute mer" の翻訳『海の上の少女』と、後述する『フランス名詩選』のみとなっています。

私がこの詩人を知ったきっかけは、岩波文庫『フランス名詩選』に収められた二篇の詩、"Mouvement / 動作 "、"L'Arbre / 樹 " に出会ったことです。その中で展開される汎神論的な世界、非常に視覚的でありながら、読者の脳内に結ばれる像が実に独創的である点など、まさに私好みの詩人だと思いました。ちょうどその頃にはフランス語の勉強を始めていて、本屋で原書の詩集を二冊注文し、暇を見つけては読んでいました。
とにかく好きな詩人なので、いつかは翻訳をしたいと思いながらもなかなか時間と場所がなかったので思うだけにしていたのですが、ブログをはじめて、ここでなら誰にも迷惑かかるまいと、今回一念発起した次第です。

詩集の題名からして気持ちいい。『万有引力』や『未知の友だち』、『セカイの寓話』などなど、それだけで読者の興味を惹くタイトルだと思いませんか?
今回訳したいと思うのは、1925年に発表された、『Gravitations / 万有引力』。まあつたないとは思いますが、これを機にもっとシュペルヴィエルに興味を持っていただけたら幸いです。

最後に、詩人の略歴(1925まで)をフランス版wiki を参考に簡単に紹介しておきます。

1884 (0歳) ウルグアイのモンテヴィデオで生まれる。同年フランスに親類を訪ねる。その際に父母がコレラにかかり亡くなる。祖母によって育てられる。
1886 (2歳) 叔父のベルナールに伴われ、ウルグアイに帰る。実の子のように育てられる。
1893 (9歳) 自分が叔父夫妻の実の息子でないことを知る。この頃から寓話を書き始める。
1898 (14歳) ミュッセやユゴー、ラマルティーヌなどを知り、隠れて詩を書き始める。
1907 (23歳) 結婚。1908-1929 のあいだに6人の子供に恵まれる。
1912 (28歳) 様々な場所を転々とした後、パリに居を定める。
1914-1917  第一次世界大戦。召集され、従軍する。
1922 (38歳) 最初の詩集"Debarcaderes" / 波止場 を発表。
1923 (39歳) アンリ・ミショーとの交友の始まり。小説 "L'Homme de la pampa" / パンパの男 発表。
1924 (40歳) 小説 "La Piste et la Mare" / あしあと、水たまり 発表。
1925 (41歳) 詩集 "Gravitations" / 万有引力 発表。


では、また。
Au revoir, a la prochaine fois!
スペインの広場。やっぱりフランスとはちょっと違う?


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