2012年12月19日水曜日

はなくそまんきんたんで10を数えて

だるまさんがころんだ、だるまさんがころんだ…

今となっては不思議なくらい、子供の頃は数を数えてばかりいた。缶けりやかくれんぼ、鬼の目から逃れるにはいつもある程度の時間を必要とした。遊戯には常に数える行為がついて回った。

ただ数えるだけではゲイがないと、流行っていたのが上記のようなちょっとひねった数え方。「だるまさんがころんだ」はちょうど10文字。これを10回繰り返せば自然と100を数えたことになる。早口言葉のような面白さとリズム感が、「数える」という単調な動作を、遊戯に変えていたように思う。

我が家では、もっぱら「はなくそまんきんたん」が使われたものだ。もちろんこれも10文字。だるまさんと同様の理由に加えて、「はなくそ」の下品さと「まんきんたん」の意味不明さが混ざり合っており、まさしく子供心をくすぐる単語だったのは間違いない。

さて、大人になって子供の頃なにげなく使っていた言葉の意味がわかる、ということがあって、この言葉もそのひとつの体験だった。

越中富山の反魂丹
鼻くそ丸めて万金丹
それを飲むやつあんぽんたん

これらの語句を小気味よく繰り返す老婆との出会いがきっかけだった。

意味はそう、薬に対する不信感を歌ったもののようだが、実は最初、この歌を聞いたときに幼いころの数え言葉との関連は得られなかった。私にとってそれだけ、「はなくそまんきんたん」が独立した言葉であった、ともいえる。

本当の意味など、どうでもいいのだ。大事なことは、自分が幼少時に使っていた語彙の保持と、その効果の持続だから。

「はなくそまんきんたん」。それは物事を動かす魔法の言葉。遊戯の開始を告げるのはいつもこの言葉だった。同時にそれは、やり直しの呪文でもある。
もちろん、ここには現在からの意図的な歪曲が存在する。むしろそうであるがゆえに、わたしは今もこの言葉を呟いて、一度すべてをリセットし、新たにやり直す気になっているのだ。

はなくそまんきんたんと10数えて、さあ、一からやり直そう。

Au revoir et à bientôt !
 

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