2012年12月13日木曜日

Retour au Japon / 愛だって?ただの無知だろう


10/12 15:35 Paris L'aeroport de Charles de Gaulle - 10/13 15:35 関西国際空港着

「夜にはパリ郊外にある Stade de France で、サッカー日本代表のおよそ9年ぶりとなる対フランス戦親善試合が行われるというのに、今帰国の途に就こうとしている」
そう、書いたのは乗継地のドバイに向かう飛行機の中で、さて代表戦は内容はさておき 1-0 で日本の勝利に終り、私は無事日本に戻って早二ヶ月が経とうというのに、このブログの旅行記は未だ、明確な着地点を見いだせていない。

うん、もういいだろう。旅は終わった。そう認めることも必要だ。フランスに行っていたのは過去の話で、今は毎日職場に向かい、同じようなルーティンワークを日々こなしているところだ、と。おそらく今後は、フランスに行く機会もそうそうないだろう。二十代の終わりは同時に、夢の終わりでもあるのだろうか。

フランス語の勉強を最初に始めたのは21歳の頃で、考えてみるとそれからもうすぐ10年が経とうとしている。もちろんその間ずっと勉強していたわけではなく、25歳すぎるまでは基礎をやっただけで、ほとんど手をつけていなかったから、まともに勉強をしているのはこの5年ということになる。

その間にフランスには3度行き、通算で30日ほど滞在していた。

はじめてフランスに行ったときは見るものすべてが新鮮で、衝撃的だった。私にとってそれがはじめての異文化体験だったのだから無理もない。とにかくなにもかもが日本とは違い、そしてその違いが素晴らしく思えたものだ。

二度三度と行くに従い、嫌なところも見えてきた。日本の良さもわかってきた。以前は、「こんな国」と思っていたが、今では、まあ日本も悪くない、と思えるようになってきた。なにより飯がうまい。

だからといって、「生まれ変わっても日本人になりたいか?」 という問いに安易に「はい」と答えるほど、愛着がある、いや、無知ではないつもりだ。
 
「86.4%の人が生まれ変わっても日本人になりたい」URl:http://article.home-plaza.jp/article/trend/111/

実際には「今あなたが国籍を選ぶとしたら日本を選びますか?」という問いと同義のこの質問。これだけ見れば日本人の日本への愛情が伺えるが、裏を返せば他の国に対する無関心が表明されているともいえる。

この調査の一番の問題点は、おそらく調査の対象となった多くの人が、他の国を愛せるほど十分に知っていない、ことだろう。知らない国の国籍をとる?ごめん、そんな無茶が通用するのは笑い話としてだけだ。

カッコよくいえば愛には二種類の要因があり、ひとつは無知、もうひとつは熟知だ。前者は憧れと変換され、後者はときどき惰性といわれることもある。

ここでカギとなる単語は「それでも」だ。

たとえば君の彼女が他の子と較べて顔が悪いとか、おっぱいが小さいとか、私服がダサいとか、いろいろあるとしても、それでも、その子と一緒にいるのは、惰性ではなく、まごうことなき愛情だ。

周りも見ずに、良いところだけを称揚するのは愛ではない。他と比較し良いところは素直に褒め、悪いところを認める。それでもいいといえるのが愛だろう。

日本国の隅々まで行き渡った利便性は世界の他のどの国に行っても手に入れることはできないだろう。しかしそれが、歴史性や他のなにかと引き換えに得ているものであることは、おそらく外に出なければわからない。他の国と比較し、自国の良い点・悪い点を客観視して、それでもなお、日本が良い、といえる人がたくさんいるとしたら、日本は本当に素晴らしい国だといえるのだろう。

さあ、私も日本に戻ってジタバタしようか。

Au revoir, et à bientôt !
グッバイ、ドバイ。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿