実家に帰ったついでに、倉敷の大原美術館に行ってきました。
1930年に創設されたこの美術館は、その前年に逝去した児島虎次郎の業績を記念するものです。
この美術館の傑出しているところは、常設展が非常に充実していることがあげられます。特に19世紀後半から20世紀前半の西洋美術のコレクションは、日本の美術館で見られる最高のものが揃っている、といっても過言ではないでしょう。
モネやゴーギャン、さらにはエル・グレコの『受胎告知』など、挙げればきりがありません。
さて、今日は「絵画の見方」について。といってももちろん絵画の専門家ではないので、私がどんな風に楽しんでいるか、です。
美術館に普段行かない人によく、「絵を見てなにが楽しいの?」と聞かれます。
もちろん、一つ一つの絵を見て、きれいだなあと思ったり、面白い構図だと思ったりすればいいのです。しかし、それだけでは物足りない。必要なのは自分の中に比較対象となるストックを持つことでしょう。
なににしてもそうですが、比較の対象がないと、そのものを評価することは難しい。これは人間の頭がそのようになっているのでしょう。そのものだけを見て、美しい、とか美しくない、とか断することができるというのは、つまり「絶対的美」の存在を肯定することになります。果たしてそのようなものがあるでしょうか。
比較する際に重要になるのが、歴史的に(縦に)見るか、同時代的に(横に)見るか、でしょう。
例えば、大原美術館所蔵のモネの『積み藁』。これを同時代、同系統の印象派の画家と較べてみる。あるいは同じフランスの画家でも時代を遡ってアングルや、あるいは進んでユトリロなどと較べてみる。そうして見ることで、これまで見逃していたギャップや、各々の特長に注目することができるのではないでしょうか。
では、また。
Au revoir, à la prochaine fois!