2012年4月1日日曜日

近い記憶、遠い記憶

おはようございます。

今日から四月ですが、まったく関係のない話題を。

先日亡くなられたタブッキのことをしばしば思い出すのですが、といっても個人的に親交があったわけではもちろんなく、私が一方的に慕っていた(作者、読者の関係として)にすぎません。

一般的に私とタブッキの関係は、非常に遠いものだといえるでしょう。

この関係のもう一方の極に、私と祖父母の関係があります。
亡くなったのはもう4,5年前になるのですが、そのときから現在まで、時折思い出すことはあるものの、その影響力はタブッキの比ではありません。

こんなことを書くとなんとも薄情な人間と思われるかもしれませんが、人間案外そんなものなのではないでしょうか。

要は記憶の遠近法だと思うのです。

祖父母との記憶は小学、中学生以前のそれと結びついており、現在の自分からすると随分縁遠いものになっています。
その一方で、タブッキの記憶は、二十歳以降断続的に更新されており、ついこの間まで続いていた読書とその直後の急死によって、現在時の体験として受け止められています。

肉親の死よりも遠く離れた国の、会ったこともない人物の死のほうがよりいっそう身近に感じられる。なんとも不思議で、先祖崇拝からはかけ離れた感覚ですが、「そんなもんだ」と思うのでした。

では、また。
Au revoir, à la prochaine fois!
あいかわらず文章と全く関係のない写真。そんなもんだ。

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