2012年4月12日木曜日

Offrande / 捧げもの

OFFRANDE / 捧げもの

あらかじめ用意された微笑みは
いずれ死者になるであろう僕らのためのもの
テーブルの上の僅かなパン
家の周囲に。
長い一本の遊歩道は
南を出迎える
それはまるで微動だにしない未来に対する
移ろいやすいオマージュみたい。
島々の果実を摘み採るために
僕らが海の上を
ブラジルのほうへと伸ばした腕は
地上のすべてを要約する、
僕らがいずれそうなるであろう死者に
それは僅かな土くれにすぎないだろうけど、
今なら前もって愉しんでおける、
僕らの知性と
死に対する恐怖、
死の甘美さをごたまぜにして。


おはようございます。

毎月恒例のようになった、シュペルヴィエルの翻訳詩です。今回から原文を省略してみましたが、いかがでしょうか?今まで読みにくいなぁと思いつつ、誰かが誤訳を指摘してくれるのではという儚い望みを抱いて原文も表記していたのですが、どうやら夢は夢のまま終わりそうです。

今回の詩のタイトルは『Offrande / 捧げもの』。「贈りもの」と訳すこともできたのでしょうが、ここではいずれそうなるであろう死者に対する Offrande と解釈しました。

この詩の特徴は語の反復と対比でしょう。私の拙い日本語訳でもなんとなくわかってもらえると思いますが、「僅かな」や「あらかじめ、前もって」、それに「いずれそうなるであろう~」といった語が繰り返されています(あらかじめ、と、前もっては別の語ですが)。
また「微動だにしない」と「移ろいやすい」、「すべて」と「僅かな」などの対比も目立ちます。
マクロな世界をミクロな事物の中に見出す、実にシュペルヴィエルらしい詩だと思います。

では、また。
Au revoir, a la prochaine fois!
ノーコメント。

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