2013年4月27日土曜日

映画『L'Écume des jours』 4/24 フランス公開

Boris Vian / ボリス・ヴィアン。死後54年を経た今も、君はスーパースターだ。

4/24、フランスで  Michel Gondry 監督の"L'Écume des jours " が公開された。

初日の入りは47000人と予想より少なかったようだ。期待値が高いだけに、裏切られたときの失望感は大きい。まさに「期待はずれ」の一作。今のところそんな烙印が押されているようだ。

なにしろ、キャスティングがすごい。主役の二人が『スパニッシュ・アパートメント』の Romain Duris / ロマン・デュリスと、日本で一番有名なフランス人女優、Audrey Tautou / オドレイ・トトゥ。更には『最強の二人』の Omar Sy / オマール・シーも登場とあっては、期待しないほうが無理というもの。私だってそりゃ見たいさ。

映画の公開に合わせて書籍の売り上げも好調なようだ。

livre de poche 版(日本の文庫本)の"L'Ecume des jours / うたかたの日々" が今週のベストセラーにランクイン。小出版社 Saints-Peres からは直筆原稿版が発売された。さまざまな神話的生物の落書きで埋め尽くされた、シュルレアリスム的想像力に溢れたこの豪華本は、1000部が瞬く間に売り切れた。

肝心の内容にも触れておこう。

「原題でもっとも悲痛な恋愛小説」と銘打たれたこの本の面白さは、その詩的で幻想的な世界観によるところが大きい。青年コランと少女クロエの恋愛を軸に、カクテルピアノやハツカネズミが舞い踊る。肺の中で睡蓮が生長する病気に冒されたヒロインなんて、この小説でしかお目にかかれない。

余談だが、この作品の日本語訳はどれもひどい代物で、とてもじゃないがまともには読めない。私が購入した当時は、新潮文庫版の『日々の泡』と早川epi 文庫版『うたかたの日々』が存在した。現在所持しているのは後者だが、まあひどい。たとえば、次のような会話――
「それでは、また仕事にかかってもよろしゅうございましょうか、旦那様」(ニコラ)
「いいとも、ニコラどうぞ」
言葉が古いのは目をつぶるにしても、「いいとも、ニコラどうぞ」はないだろう。最初のセリフを喋ってるのがニコラだということを考えれば、滑稽さは倍増する。普通に考えてもここは、「ああ、よろしく」ぐらいが妥当なところだろう。
現在は光文社文庫から野崎歓訳が出ている。中身は確認していないが、野崎さんの翻訳なら間違いないと思うので、読みたい人はこれがオススメ。

まぁともかく、日本公開が未定な以上、とりあえず読んでみるしかないだろう。もちろん私は挫折した(なぜ昔は読みとおせたのか不思議だ)が、それはそれ、これはこれだ。ボリス・ヴィアンの息子、パトリックの証言を最後に引用してお別れだ。

「『うたかたの日々』は初版5000部が印刷されたんだ。1000部はなんとか売れて、友人にもたくさん配った。残りは?全部スクラップさ」

Au revoir et à bientôt !
 
なるほど、この翻訳ならスクラップされるのも頷けるぜ。



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