2013年1月27日日曜日

顧客の優位性が大学を支配する

――生徒が先生を評価する。これほど素敵なことがまたとあろうか。

発端は昨日今日の話ではない。1997年、Francois Bayrou による教育改革案に遡る。

大学教育における授業の質の向上を図ろうというのが、この制度の目的だ。

現在の大学では、研究成果に評価基準の大半が置かれており、どんな授業を行ったかは、ほぼ考慮されない。それを、優れた授業を行うことが、キャリアアップのための重要なファクターとすることに要点はある。

日本の大学教育もほぼ同じ現状だといえる。

もちろん反対意見もある。大学教授は研究成果こそが大事だ。学生は優秀な教授の話を聞けるだけでもありがたいと思わなければ。そう考えるのもわかる。

だからこそ逆説的に、研究第一だからこそ、優れた授業を行うことが必要なのだ、ということもできる。少子高齢化時代を迎え、年々学生の絶対数が減っている現在、自分の学術分野に十分な研究資金を得るためには、人気とその必要性をプレゼンすることが求められる。その場として、授業はうってつけだ。面白い授業、優れた授業には学生が集まる。それが大学内でのキャリアアップにつながることはすなわち、パワーバランスを授業によって変え得る、ということだ。

確かに最初は上手くいかないだろうが、最後には教授たちも自分の研究分野に学生たちの興味を向けさせることの有用性に気づくだろう。そう、それは顧客のことを無視できる販売者が存在しないのと同じことだ。

教育の世界でもまた、顧客の優位性が明らかになりつつあるのではないだろうか。それがどの程度の深度と広さを併せ持つのか、それはまだわからないけれども。

Au revoir et à bientôt !
フォンテーヌブロー派の絵。仏語では École de Fontainebleau、つまり「フォンテーヌブローの学校」と表現する。面白いね。
参考URL: Le Figaro による元記事

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