2012年11月17日土曜日

Les feuilles d'automne / 文学週間

Oh, je voudrais tant que tu te souviennes,
Des jours heureux quand nous étions amis,
Dans ce temps là, la vie était plus belle,
Et le soleil plus brûlant qu'aujourd'hui.
 
思い出してくれないか
幸せだったあのころを 僕らは恋人同士で
人生は今より美しく、
太陽は今よりもっと輝いていた。
 
Les feuilles mortes / Jacques Prévert
 
 日本語タイトルは、『枯葉』。シャンソンの代表格であり、ジャズのスタンダードナンバーとしてもあまりにも有名。私にとって、このタイトルはすなわち、『Somethin' Else』 内の同曲を意味している。
 
ちなみに英語のタイトルは 『Autumn Leaves』。 日仏英、いずれも「落ち葉」を意味しているが、この英語をそのままフランス語に直すと、Les feuilles d'automne 。つまりは表題に落ち着く、というわけ。
 
それにしても、「落ち葉」を意味する英語が、フランス語では秋の読書週間を指しているのだから、不思議だ。
 
これは、フランス語の feuille の多義性による。この語を仏和辞書で引くと、「葉」、「紙」、「薄片」などの意味が出る。要は、ぺらぺらした物体の総称だ。日本語で、ミルフィーユというお菓子、あれはフランス語の mille feuilles (薄く1000枚重ねたもの)が訛ったものだ。
 
さて、この時期は、フランスの主要な文学賞の受賞発表が重なる季節である。その中でも最も権威がある、といわれているのが、ゴンクール賞。今年の発表は11/7。 Jérôme Ferrari "Le Sermon sur la chute de Rome" (Actes Sud 社) が受賞した。内容は以下の通り。
 
コルシカ島の小さな村にあるバー。哲学の勉学を捨て、大志を抱きその寂れたバーを継ぐことにするが、思い描いていたユートピアは悪夢へと変わっていく。人の気持ちとはこんなにもたやすく腐敗していくものなのか?落日のローマ帝国で人間の意志を非常に無力なものとしたアウグスティヌスの思想を絡めた、哲学的思想に満ち溢れた小説です。(欧明社HP より引用 URL: http://www.omeisha.com/?pid=51321885

 

うん、なかなか面白そうだ。
ちなみに、この作家の出身地はコルシカ島。いつの時代も文学はある程度書く人の事故が投影されたものだけれど、いつからかその傾向がつとに強まってきたように思う。それは roman から recitへの回帰、といえるだろう、そのターニングポイントは、ヌーヴォーロマンの旗手、ロブ・グリエが半自伝的三部作を書いたそのときに求められるのだろうか。(そういえば、以前少しだけ紹介したマルグリット・ユルスナールの最後の作品もまた、自伝的三部作だった)。これについてはいつかまた書く機会があるかもしれない。ないかもしれない。
 
それにしても、結局文学賞なんてものは、出版業界が本を売るための手段にすぎないのだなぁ、とつくづく思う。もっとも、日本の芥川賞や直木賞のように、もはや読書好きからもないがしろにされてしまった賞などは、それこそ les feuilles mortes / 死んだ文学(賞)と呼ばれるべきだろう。
 
Au revoir et à bientôt !
 
 

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