2012年11月7日水曜日

Louvre 拡大号 Nicolas Poussin / ニコラ・プッサン

10/12 9:30 - Musée du Louvre

そこらへんの黄色いクマとは一線を画していただこう。

その男の名はNicolas Poussin / ニコラ・プッサン(あるいはプーサン)。「フランス絵画の父」と呼ばれ、ルーブルのリシュリュー翼、フランス絵画の部屋は、クラシックを創ったこの男からはじまる。彼のためだけに充てられた数部屋はその日、課外授業に繰り出した高校生で埋まっていた。


にもかかわらず、である。プッサンはその生涯のほとんどをイタリアで過ごした。ルイ13世によって祖国に招かれた2年を除き、亡くなるまでの40年近く、つまり画家としてのほとんどの時間をイタリアに生きている。

そんな彼を「フランス絵画の父」と呼んでいいものか。

おそらく多くのフランス人の頭に一度はよぎる疑問だろう。前々回に紹介したエル・グレコはギリシャに生まれイタリアで学び、トレドで生涯を終えた画家だが、彼の作品を我々はスペイン絵画と呼んでいる。

プッサンにとって、絵画とはなんだったか。それは、次のプッサン自身の言葉によくあらわされている。いわく、

「アルファベットの26文字が私たちの言葉や考えをかたちづくるのに役立つように、人の身体の外形は、魂のさまざまな情念を表現するのに役立ち、私たちが精神の中に持っているものを外に示すのである」

外形は精神を示す。人の身振り、表情、動作をいかに書くかによって、その人の内にあるものを示すことができる、そうプッサンは考えた。

ごめん、ここまでほとんどが、『美の旅人 フランス編Ⅰ』 / 伊集院静 の受け売りだ。実際このシリーズほど、美術を専門的に学んでいない人にとって、格好の入門書であり、応用本と成り得るものはないだろう。広く見ながらもしっかりと要点を押さえている。

私からプッサンを見て言えることはただひとつ、それは構成の妙がこの画家にはある、ということだけだ。あとは実際に自分の目で見て確かめてみてほしい。彼を観ることで、フランス絵画の規範とはなにか、ひいてはフランス人がクラシックと称する精神のありどころがわかるだろうから。

Au revoir et à bientôt !

プッサン、56歳時の自画像
 
参考文献:美の旅人 フランス編Ⅰ / 伊集院静香 著(小学館文庫)
Le Guide du Louvre (ルーヴル美術館内で販売されているガイドブック。500p近いボリュームでかなり楽しめる)


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