2012年10月16日火曜日

Monaco / モナコ 優美・裕福・勇敢さ

10/8 11:40 Èze 発 - 12:00 Monaco 着
 

エズからモナコまで、約20分。Cote-d'azur の海岸沿いの山道を下っていく。途中から明らかに、一般の郊外のそれとは姿の異なる建物群が見えてくる。モナコはすぐそこだ。
 
「他の乗客が降りたから」という安易な理由で、地図も確認せずにバスを降りるような男はすでに、モナコに滞在する資格はない、といっていい。
 
いやそもそも、乗合バスを使うような観光客が、訪れていい場所ではないのかもしれない。世界に二番目に小さな国、ここモナコでは、富を持つものがすべてに優先される。
 
街の心臓部、Monte-Carlo / モンテ・カルロにある Grand-Casino 前には、見るからに威厳のあるガードマンがいて、黒塗りの車を出迎えている。その威風堂々たる姿を前にしては、旧市街地に居を構える王宮のほうが、まだしも庶民的でとっつきやすい、とさえ思えてしまう。
 
もちろん、それもまた幻想にすぎない。そもそもMonte-Carlo の名称自体、モナコを興隆に導いたCharles Ⅲ の名を冠しているのだから。仮にその領域に近づこうと試みるのであれば、先代の王Rainier Ⅲ の妃となったGrace Kelly / グレース・ケリー並みの優美さが必要となる。
 
もうひとつ、モナコを語る上で忘れてはならないのが、毎年五月に開催されるF1だろう。
 
市街地をサーキットとして使用するという、命知らずな試みは、それゆえに勇敢な平民を限りない高みへと押し上げ、束の間幻想と現実の境目を乗り越えることを可能にする。
 
それがどれだけ勇気の必要なことかを知りたければ、市街地を歩き、殺人的なヘアピンカーブを目の当たりにするだけで十分だろう。
 
勇敢さ、優美さ、裕福さ。このすべてを欠いた人間にとって、モナコは夢に出てくる幻の王国にすぎない。
 
仮にでもモナコを語ろうとするのならば、サンダル履きでTシャツからビール腹を覗かせて、ガードマンからじろじろと見られるのにお構いなく、カジノを見物するだけして帰って来るという、アメリカのおじさん風の度胸が最低限備えておくべき資質となる。それは今の私には求めがたいセンスだ。
 
Monaco 王宮前
 
…La prochaine déstination ☛ Avignon
 
 
 


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