2011年7月25日月曜日

『悪童日記』について

おはようございます。

ようやくアゴタ・クリストフについての話題です。

と、その前に訂正を。

彼女はフランス在住ではなく、スイスのフランス語圏在住の作家でした。すみません。

この通り、アゴタ・クリストフに関しては、ざっと語っても間違った知識ばかりしか出てきません。なにしろ日本語訳で彼女の本を読んだことがないものですから・・・。

じゃあフランス語で読んだんか、と言われると、代表作である『悪童日記』からはじまる三部作はなんとか読みました。簡単なフランス語を使っているのが特徴なので、初心者にも読みやすいと思います。

『悪童日記(原題:Le grand cahier )』の一番の特長はなんといっても一人称複数形‘Nous’ を用いて書いていること、またその効果を最大限に生かしていることでしょう。

双子の少年が戦時下の小さな町で起こる出来事を、「ただ真実だけを書く」という規律を持って書いていく。そこには子供らしい残酷さとエロティシズムが溢れています。

ただ、この‘Nous’ という語、やはり日本語に訳すといまいちしっくりとこない。この小説の訳者は「僕ら」としていますが、どうしても「我々」という概念は世代論や日本人論などとの結びつきの強さを感じてしまい、使いにくい語だと感じてしまいます。

それにしても、この作品のラストは見事としかいいようがない。物語の結末としても素晴らしいし、この‘Nous’ という語の単一性を活かす、という点でも成功していると思います。ぜひ一読あれ(できればフランス語で)。

では、また。
Au revoir, a la prochaine fois!
Lyon で宿泊したホテルのカギ。でっていう。

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