2013年3月25日月曜日

愛は貴族主義

持つものにはより多くが与えられ、持たざるものは奪われる。ここでは平等主義も民主主義も意味をなさない。恋愛の世界の規則はただ一つ、より魅力的な人間がすべてを得る、過酷な世界だ。

障害者の性的支援が話題になっている。あろうことかスタンダールが『恋愛論』を書いた国、フランスで、だ。

内容を詳しく見てみよう。
Essonne 県の県議会において提案はなされた。現在は違法である、障害者に対する性的支援を合法化しよう、というのがSAVS(services d’accompagnement à la vie sociale) の訴えだ。とりわけ、「自分では身体を思うように動かせない」障害者に対する性的支援を、と訴えている。

実はこの法律、すでに採用されている国がいくつかある。麻薬の吸引も合法な尖った国オランダを先兵として、隣国ベルギー、永世中立国スイスに、幸福度ランキングで常に上位の福祉大国デンマーク、加えてアメリカのいくつかの州でも採択されているようだ。うーん、このメンツよ。

 もちろん、障害者支援を行っている組織はこの提案に賛成だ。一方で、コメント欄を見る限りでは、一般の人は反対意見が大勢を占めている。そこに税金が投入される可能性があることもひとつだが、それ以前のモラルの問題が大きいようだ。

ここで議論されている主な論点は、「性的支援は売春か否か」 にある。なぜならそれが合法か違法かの、現在のところ明確な境界線だからだ。だがこれは同時に、あまりに不明瞭な一線でもある。セックスをしなければオーケーなのか?それはもっと突っ込んでいえば、ペニスをヴァギナに入れなければいい、ってことだ。まるで、「先っちょだけ、先っちょだけだから!」みたいなノリだ。

この提案に納得いかない人も多いだろう。全国推定6000万人の恋人いない歴=人生の男たち(女たち)よ。これは嫉妬だ、ちょうど働かずに金を得ている、生活保護受給者に感じるそれと同じ感情だ。

でもたぶん、この提案が通ったからといって、心の空白を埋めることはできない。性的支援が法的に認められて、そのついでに売春も合法になって、「性感マッサージ師」の国家資格ができて、男女とも大っぴらに売春宿に通うことができるようになっても、根本のところで問題は解決していない。「国民の健康のため」なんて皮をかぶってはいるが、結局のところ、お前らみんな、愛されたいんだろう?

障害があるから無理?知らねえよ、そんなこと。頼りになるのは自分自身の魅力だけ。あんたに恋人がいないのは、身体の一部が動かないからでも、欠けているからでもない。ただ、魅力がないだけだ。

恥も外聞もかなぐり捨てて、手に入れたいのは一時的な性的快楽なんかじゃない、愛だろ?
――なら勝負だ。限りなく貴族主義的で、平等主義も福祉の精神も埃にまみれて打ち捨てられたこの土俵上で、がっぷり四つに組んで。

Au revoir et a bientot !

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