洋の東西には正反対の諺があって、その違いがすなわち考え方の、ひいては行動の違いといえるでしょう。
私の好きな対立に、「見る前に跳べ」(日本)と「Il faut réfléchir avant d'agir / 行動する前によく考えよ」(フランス)があります。
これを以前にも紹介した(男らしく生きる)不在を追求する心理だと捉えれば、日本人は考えすぎて時機を逸し、フランス人は考えなしに動いてし損じる、というタイプが前提とされていることがわかります。
一方で、この不在追求型の心理の突き詰めた先にあるといえる、理想追求型の格言の比較もあります。
それが今回のテーマ、転がる石です。
A rolling stone gathers no moss. 日本語に訳せば「転がる石に苔はむさない」ですね。
本来、この諺には「落ち着きなく動き回っているものには能力は身につかない」の意味と、「いつも活動的に動き回っている人は持っている能力を錆び付かせることはない」の正反対の意味があります。ここでは、前者の意味で捉えて、話を進めたいと思います。
この語を聞くと、日本国歌の最後の一節、「苔のむすまで」を思い出すのは私だけではないはずです。
この二つの表現を較べると、前者が苔が生えることに否定的であるのに対し、後者が肯定的であることは一目瞭然です。
転がり続ける、変化し続けることで常に新しくいられる、という思想と、同じ場所にとどまり続ける忍耐が、巨大なひとつの塊になる、という発想。どちらが良い悪いの問題でないだけに、なおさら考え方の違いに惹かれます。
さて、あなたはどちらのタイプの石でしょうか?
では、また。
Au revoir, a la prochaine fois!
転がらない石の集積。この話は次回に |
0 件のコメント:
コメントを投稿