2012年6月24日日曜日

勝手に、祝一周年!

おはようございます。

このブログもなんと一周年。いやー、すごい。怖ろしい。

この間なにを書いていたかと、タグを追って読み返してみると、フランスについて書いたのは最初のほうだけで(フランスのお話タグ13のうち11が去年)、翻訳、文学タグだけで実に63を数えます(重複もあるでしょうが)。

さて、せっかくの一周年、しかも文学の話ばかりしてる、とあってはこの記念回もまた、文学の話をするしかないじゃありませんか。別に誰に引け目を感じることもないのだし。

今回は、「勝手に選んだ20代ベスト小説」
今年で20代に別れを告げる私が、20~29歳までのあいだに読んだ本の中から、好き勝手にベスト小説を選ぼう、というなんとも自分好みな企画です。

といっても一作に絞るのは至難のワザ。そこで長編、中編、短編で各一作ずつ、ということで。

長編は前回にもあげた『わたしの名は紅』この作品は構成の緊密さと抒情性の交わり方が絶妙。700pにもおよぶ大作で、描かれる小説内時間が僅かに三日というのも、幻惑的で良い。作者のイスタンブルに対する愛情の深さから来る都市描写(特に雪の景色)も美しい。

中編は幻想小説の作者としてよりも、宗教学者としても著名なミルチャ・エリアーデの『ムントゥリャサ通りで』。これも以前に紹介しています(『ムントゥリャサ通りで』)。これはロレンス・スターンの正統な嫡出子といえ、脱線に脱線を重ねていく。そう、子供の頃空に向けて放った矢が、大人になった今も戻ってこないように、期待して待つものは二度とやって来ず、予期せぬものが帰来するのです。

短編はフリオ・コルタサルの『南部高速道路』一択。個人的にこの作品以上の完成度を誇る短編小説はないと思っています。とにかく上手い。大都市近辺の高速道路で起こった渋滞という、いかにもありふれた題材を用いて、日常と非日常に境界なんてないんだと、実に見事に言い切っています。もうただ、脱帽ですね。

オルハン・パムク、ミルチャ・エリアーデ、フリオ・コルタサル。こう見ると西欧というメインカルチャーからの距離感が巧妙な三人の作品となりました。実に自分の嗜好に偏った選択ですね。でも、ベストな作品を選ぶなんてそんなもんでしょ?

これからも自分の趣味全開なブログでありたいと思います。

では、また。
Au revoir, a la prochaine fois!
ゆがんだ階段

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