今日は久しぶりにフランスの話題を。
フランス語では車に当たる単語として、voiture の他に表題の bagnole という語があります。
前者(車?)は一般的に用いられる意味の車で、日本語の車、自動車とほぼ同義です。後車は辞書で見てみると、
① ≪話≫車、自動車
② おんぼろ車、ぽんこつカー
とあります。
辞書で近くの単語を探索すると、「bagage / 鞄」があり、「bagarrer / 争う」があり、そこから派生した「bagarre / 乱闘」があり、極めつけは「bagnard / 徒刑囚」、「bagne / 徒刑場、流刑地」などといった不穏なものまで。なんだかずいぶん痛めつけられた単語揃いとなっています。
さてこの単語、本などで見かける機会が意外に多くあります。
それもそのはずで、フランスでは実に多くの bagnole が街を走っているのです。
パリの街にいわゆる駐車場はなく、いたるところの道の片側に沿って、プジョーやらフォルクスワーゲンに混じって、どこのメーカーとも知れぬ bagnole が何食わぬ顔をして停めてあります。
で、もちろん出るときには前後のプジョーやフィアットにぶつかりながら出ていく。
「バンパーはぶつけるためにある」という、その潔さには感服します。
日本ではおんぼろ車を見る機会は随分まれになったと思います。私が子供の頃はもっと見た記憶があるのですが。
そういえば、この「おんぼろ」という単語自体、あまり聞かれなくなりましたね。確かに周りを見回しても、この語がしっくりくるようなものが減ったと思います。建物しかり、自動車やバスしかり、(表現的にはおかしいですが)衣服しかり・・・。一方で「レトロ」に対する志向は見られるように思います。
社会の変化に合わせて言葉もまた変わっていく。言葉は社会を映し出す鏡のようなものなのでしょう。
では、また。
Au revoir, à la prochaine fois!
これはまだ新しいほうかな?もちろん、新車に乗ってる人もたくさんいます |
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