2013年6月15日土曜日

薔薇は萎れてしまった

物事には時機がある。

時機の則した、していないは非常に重要な問題である。なぜならそれは物事の運命を決定づけるものであるから。より宿命論的に言うならば、時機に則して物事を行う(書く)ことは、それを宿命と寄り添わせるようなものだ。逆に時機を逃すことは、宿命と添い寝する機会を逸するようなものだといえる。それはある種、神に対する予期せぬ反逆だ。

ここにそんな袋小路に落ち込んでしまった一編がある。

『Altera Rosa 運命に翻弄された街で薔薇と踊る』 と題したこの article は、本来なら一月前にアップされるべきものだった。先月にアヴィニョンで行われた「バラ祭」の映像と、旅行で訪れた思い出を、かの地にまつわる歴史と絡めて書く、書いたつもりだった。

今では時機を逸してしまい、それはほとんど色あせて見える。けれどもこのまま棄ておくにはもったいない。だってまだ使えるだろ?――そんなわけで、私の37の悪癖の一つ、自己引用でもってなんとか再構築を試みる次第である。


Avignon / アヴィニョン。パリからTGVで3時間40分ほど、快適さ、近隣に散在する街へアクセスする利便性、そしてなにより街自体が持つ魅力が、この街を忘れがたい存在にしている。

Avignon / アヴィニョン。この街は私にとって縁深い。滞在期間の長さがこの執着の形成に一助を買っているのは当然として、その文化的背景や最近お気に入りの作家、Henri Bosco 生誕の地という付加価値が、より一層執着心を煽り立てる。パリがフランスの首都であることに異論はないが、私にとってフランス第二の都市は、マルセイユでもリヨンでもなく、この街なのである。

なによりも教皇庁によって有名なこの街には、他にも有名なものが多々存在する。イベントに限れば今年も演劇祭が行われるし、この時期には"Altera Rosa" と呼ばれるバラの祭りが催されている(協賛には日本でも有名な香水会社 L'Occitane / ロクシタン も名を連ねる)。

祭りの見どころはバラもさることながら、教皇庁を巨大なスクリーンとして使用する映像芸術だ。なるほど、今の時代YouTube でいつでもどこでも見ることができる。しかしながら実際に体験するとなるとやはり、現地に赴くより他に方法はない。

とりあえず、なにも考えず言ってみよう。今年第9回目を数えるAltera Rosa / バラ祭 の開催期間は5/9 ~ 5/12 まで。

って、終わっとるやないかい!!



…まぁ、あれだ。つまり最初に書いた時点ですでに時機を逃してしまっていたわけだ。間にあうもあわないもない、後出しでやった失敗。

いいさ、季節外れの花もまた、見る人の心によっては美しい。萎れた薔薇にも使い道はあるだろう。萎れた薔薇を胸に挿して、街を歩こう。宿命の角を曲がるとき、同情くらいはひけるだろう。

Au revoir et à bientôt !

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