2013年2月4日月曜日

そんな名誉は犬の糞みたいに持ち帰れ

コンセプトは「腹を切れるアイドル」。

AKB48の Minami Minegishi / 峯岸みなみ が先日、恋人との一夜をスクープされ、l頭を丸刈りにして謝罪する動画をネットにアップし、話題になった(2/4 付けで削除)。

――って、誰だよそれ!

ごめん、私はまったく知らなかった。ニュースによると、AKB48の最初期から在籍しているメンバーなのだそう。へぇ。テレビを全く見ない私と比較するのもあれだが、一部のコアなファンを除けば、一般の人の反応はそれよりも少しまし、くらいなもんだろう。

自分がまったく知らない・興味のない分野のニュースにぶっ込むのも、このニュースがフランスでも配信され、少なからぬコメントがついていたからだ。やや軽めのニュースサイト、20minutes.fr 2/4 付けでFacebook のいいね!を791と、同ページ上で33のコメントがついている。
参照:20minutes.fr Une popstar japonaise se rase la tête après avoir passé la nuit avec son boyfriend

これは、先日北海道の十勝地方で観測した震度5強の地震に対するコメントが0、安部総理の隣国に対する断固たる姿勢を報じたニュースに対するものが1しかないことに較べれば、いかにフランス人の興味をそそったか、よくわかる数字だ。

報道内容と反応を見ていこう。

「L'acte de contrition ultime. / 悔恨の究極の形」と題し、彼女が丸刈りにした理由を述べている。
AKB48内では恋愛が禁止されており、それに違反したことに対する謝罪として、「誰にも相談せず」頭を剃ったのだという。
「Au pays du seppuku / 切腹の伝統がある国で」、13歳の頃からアイドルとしての活動を始めた彼女が、このような公的な辱めを自ら選んだのにはどのような脅迫観念が存在していたのか。
プロデューサーの秋元康は金曜日、彼女のメンバー降格を言い渡した。これは比較的マシな処置だという。同様の状況において、多くの少女たちがこの冷酷な男によって追放された。

この「吐き気を催す」行為に対する反応として至極当然なのが、「20歳の女の子に恋愛禁止なんてありえない!」というものだ。おそらく、多くの日本人もこれに同意するだろうし、そもそも彼女らが恋愛していようがいまいが、どうでもいいことだ。

あるいは「machisme / 男性優位主義、男尊女卑」の観点から見たコメント。恋愛禁止といった馬鹿げた規則を作った人間の「machisme」が非難している。その一方で、「アイドルは大衆の理想像であるべき存在。男性アイドルであってもそれは一緒」といった、悟ったような意見も見られる。

気になるのはこれを「日本人の国民性」だと解したコメントが少なくなかったことだ。

いや、日本人から見ても異常です。記事自体が「seppuku / 切腹」を引用しミスリーディングを誘っているところもあるが、この行為を日本人の「l'honneur / 名誉」の観念としているコメントも多い。中には、「フランスではこのような名誉の観念は失われて久しい」と嘲笑的ととれるコメントもある。

こんな吐き気を催す名誉の観念が、今も日本に残っているのか?表に出ることは少ないが、やはりあるのだろう。道端で犬の糞を見かけることは少なくなったが、犬が糞をしなくなったわけではないように、日本人の精神性を読み解く上で欠かせない、裏の文脈として生き延びているのだろうか?私にはわからない。
なるほど、日本人にも理解しがたい精神性が、パリの街中至るところに落ちている犬の糞(merde du chien)を踏んづけて、「Merde ! / クソがっ!」と叫ぶフランス人に、理解できるはずもない。

Au revoir et à bientôt !
パリは脱糞天国。
 

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