2013年2月15日金曜日

人肉 馬肉 あるいは猫肉

なんの小説だったか、必死に記憶を手繰り寄せても思い出せないが、馬の肉を食べた男の裁判が開かれる場面から始まる物語があった。あったはずなんだが、思いだせないぜ。

今ヨーロッパで馬肉の偽装問題が日々大きく報じられている。

「牛肉100%」と表示された加工食品の一部に、様々な比率で馬肉が混じっていたらしい。中には「馬肉100%」の肉もあったとか、なかったとか。

もちろんここで問題になっているのは、偽装表記の問題であって、「馬を食べる」ことの道義性ではない(はずだ)。だが、馬を食べることを禁忌と思う文化がヨーロッパ圏にはあることも、われわれ日本人は知っておいて損はない。あくまで推測だが、彼らにとって馬肉を食すことはすなわち、ペットの犬や猫を食べることに限りなく近い行為なのではないか。

Le Point.fr のC'est arrivé aujourd'hui がそれに関連してかしないでか、面白い記事を載せている。

1779年の2月14日はイギリスの海洋探検家、James Cook / ジェームズ・クックがハワイ島で命を落とした日だそうだ。そしてその死骸は、原住民たちによって肉が骨から削ぎ落とされ、焼かれた。

最終的に乗組員らの懇願によって、遺体の一部は返還され、海軍による正式な水葬に伏されたようだが、では婉曲に表現された残りの肉は、となるとおそらく、原住民によって食されたのであろうと推測される。

だからといって彼らを野蛮だとか、文明人でないとか非難するのは間違いだろう。それに反論するには、カニバリズムが人類の誕生から地球上のあまねく土地で行われていた(もちろんヨーロッパ大陸も例外ではない)習俗であることを指摘してもいい。

一つの文化で禁忌であるからといって、別の文化でもそうであるとは限らない。当然のことだが、一つの文化圏でしか生活していないと、その当たり前が見えてこない。中国の一部に存在する猫食文化を「野蛮」だと非難するのも的外れだろう。スイスの農村でも普通に食ってるみたいだぜ?アルプスの聖少女ハイジやペーターも食べてたかもしれないな。おじいさん?彼は間違いない、顔を見ればわかる。だからといって、それが「ハイジ」のアニメ化を阻止するものにはならないのだ。

だからといって、馬肉を牛肉と偽ることが許されるかって?それとこれとはまた別の話だろう。

Au revoir et à bientôt !
おし~えて、おじいーさん!――なにをだい、ハイジ?――ネコの食べ方をさ!
日本語のニュースサイトでも「馬肉」「偽装」で検索すればヒットする。適宜参照させていただいた。
 

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