2013年5月2日木曜日

メーデー スペインからの救難信号

5/1 はメーデー(May Day) 、ヨーロッパでは夏の訪れを祝う日である一方、労働者が統一して権利要求と国際連帯の活動を行う日である。

昨今の日本では存在感が薄く感じられるが、その一番の理由は、ゴールデンウィークとかいうふざけた大型連休の最中に、働くことを真面目に考えるやつなんていない、この一点に尽きると思う。

そもそも日本は国際的に見て、5/1 が祝日ではない、珍しい国の一つに数えられる。祝日化の動きはこれまでに何度かあったようだが、実現はしていない(このあたりの経緯はWiki を参照させていただいた)。つーか別に勤労感謝の日があるじゃん、と言われればそれまでだ。

ここに面白いデータがある。

タイトルはずばり「世界の祝日ランキングベスト10」。祝日を含めた年間有給休暇数を比較したものだが、日本はヴァカンス大国フランスから1日少ないだけの、年間35日で世界9位にランクインしている。アメリカの25日、ドイツの29日、有休がすべて使えるわけでないことを差し引いても、かなり多い。

さて、肝心のメーデー。水曜日は世界各地で労働組合による運動が繰り広げられ、ヨーロッパではとりわけ、緊縮財政と失業率の悪化に抗議するデモが盛んに行われた。

その中でも気になったのは、先日就任したばかりの第266代ローマ教皇フランシスコが出した声明だ。

「若者だけに限らず、人々が就業するのが困難ないくつかの国がある」と教皇は言う、「エゴイスティックな経済原理が根底にあり、それが今日の状況を生み出しているではないかと思っている。これは社会的正義の観点から逸脱した精神だ」。このように述べて失業と、それを生み出している社会に警鐘を鳴らした。

この発言で教皇が念頭に置いていたのは、スペインの悲惨な就業実態だろう。

昨年10~12月期のスペインの失業率は、過去最悪の27.2%。これは国民の4人に1人が失業しているきわめて異常な状態だ。更に若者(16~24歳)に限ればこの数値は57.2%にまで跳ね上がる。リーマンショックが起きる直前の2007年の数字が8.6% 。失業者の総数は当時が190万人、現在は620万人にまで膨らんでいる。

スペインの年間有給休暇数は日本より1日多い、36日(フランスと同率6位)。羨ましくなんかない。今やスペイン国民の大半にとって毎日がヴァカンスだ。もちろん、無給だ。国民的スポーツであるサッカーも、先日チャンピオンズ・リーグでレアル・マドリー、バルセロナともに、ドイツ勢を前に敗退した。経済だけでなくサッカーでも負けちまうのか?

ここ数年のあいだ、世界最高のサッカーチームであり続けたFCバルセロナが、2試合合計 7-0 でバイエルン・ミュンヘンに敗れる姿は衝撃だった。もしかするとあれは、スペイン経済が発するメーデー(*救難信号)だったのかもしれない。

* mayday は世界共通の救難信号。フランス語の "Venez m'aider / 助けに来て" に由来する。
 
Au revoir et à bientôt !

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